2025年度 ALJE第2回研究会
大学院生による研究発表

〈発表1〉
Phạm Thu Trang (ハノイ大学大学院生)
「フェニカー大学のIT技術大学生の日本語学習動機づけの調査」
【要旨】
学習動機づけは、第二言語習得において学習者にとって非常に重要な要素である。
本研究では、日越情報工学部に在学しているIT専攻学生を対象に、日本語学習動機づけに関する質問紙調査を実施し、学生が日本語学習を継続する動機を明らかにするとともに、それに基づく適切な学習方法やストラテジーを提案することを目的とした。
因子分析および回帰分析の結果、「統合的動機づけ」「社会的動機づけ」「職業志向」という三つの因子が抽出され、特に「職業志向」が学生の日本語学習動機づけに強く影響していることが明らかになった。これらの知見を踏まえ、本研究では、学生が日本語能力をより効果的に維持・発展させるための具体的な方策を提示している。
〈発表2〉
高橋 聡子(早稲田大学大学院生)
「マレーシアの多言語多文化職場におけるビデオリフレクション研修の考案
― 居心地のよい職場づくりに資する会話力の検討を通して ―」
【要旨】
本発表は、マレーシアの日系企業における多言語・多文化職場を対象に、非流暢な発話を会話力として活用するビデオリフレクション研修を考案する。ビデオリフレクションとは、実践や教育的活動を映像で振り返り、察する方法である(佐伯,2018)。
日本人独特のハイコンテクストな会話は外国籍社員とのミスコミュニケーションを招きやすく、経済産業省はその解消のため動画教材を提供している。一方本研究は、雑談に参加できず孤立感を抱く外国籍職員の支援を目的とする。Jessicら(2021)は孤立低減に雑談を推奨し、清水(2018)は頼関係を育む雑談を会話指導の対象にすべきと述べる。そこで本発表は、雑談におけるとぎれや沈黙、フィラーなど非流暢性に着目し、録画・書き起こしを通じ相互作用への影響を分析する。非流暢な発話を会話力として捉え直し、ビデオリフレクションを用いた研修モデルを検討する。外国籍職員に非流暢性があまり見られないのは、その存在や役割に気づいていないためと考えられ、本研修の試みが会話力向上の一助となると考える。

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